Librus PR担当:会社の事業内容や概要について教えていただけますでしょうか。
株式会社Catallaxy 藤野潤也様:当社はCatallaxy(カタラクシー)という社名なのですが、「カタラクシー」とは造語で、「ポジティブ・サム」のような意味合いを持っています。誰かが利益を出すと誰かが損するのではなく、お互いに利益が出るように努力しようというポジティブな思いが込められています。
Librus PR担当:起業した背景についてお聞かせいただけますか。
藤野潤也様:元々当社は代表の大石が現役プログラマーなこともあり、2015年の設立から2年ほどはさまざまな企業からの受託開発からスタートした企業です。代表の大石の実家が工場関係なのですが、実家の仕事をIT化したりしていたことや、もともと興味があった製造業に対してITの力がまだ及んでいないことから業界に危機感を感じ、金属部品調達プラットフォーム「Mitsuri」というプロダクトを2018年にローンチしました。
Librus PR担当:「Mitsuri」はどういったサービスなのでしょうか。
藤野潤也様:「Mitsuri」は金属加工部品を依頼したい人と作り手を直接つなぐオンライン部品調達サービスです。製造業は今でもFAX注文が多く残っていますが、案件に合わせて新しく適切な工場を探せなかったり、試作品を受けてくれるところが見つからなかったり、依頼したのと違うものが出来上がってきたり、といった課題を解消しようとするものです。現在、登録が累計で約1万2000社、総流通が32億円ほどです。
Librus PR担当:製造業におけるオンラインの部品調達が遅れている現状があるのですね。御社が提供するプラットフォームに対して、どのような魅力を感じてサービスを導入するのでしょうか。
藤野潤也様:製造業の中では100人中20人程度はデジタル化に興味があると言えるでしょう。さらにそのうちの2、3割の人が実際にプラットフォームを使っているイメージです。製造業は図面を読むことなど数学を使うこともあるため、理系的な考えの人が多いです。その中には、非効率な部分を理解しつつ働いている人たちと、その非効率に疑問を感じずに当たり前だと思っている人たち、そして非効率を変えたいと思っている人たちの3種類がいます。特に非効率を変えたいと思っている層の中で高いITリテラシーを持つ人たちが情報検索をして「Mitsuri」に辿り着き、サービスを活用してくれているのだと思います。
Librus PR担当:製造業の規模の大きさから、情報システム化は進んでいるかと思いますが、ITリテラシーはどうなのでしょうか。
藤野潤也様:当社はDX(デジタルトランスフォーメーション)のコンサルティングも行っており、大手の地方銀行や商社とのお付き合いがありますが、ITリテラシーの高い人材は多いとは言えないでしょう。部分最適ではなく全体最適を考えてリードすることが重要だと感じています。
Librus PR担当:製造業は一般的にオンプレ(自社内でのサーバーやインフラを保有)のイメージがありますが、御社のクラウドサービスに対する抵抗感はないのでしょうか。
藤野潤也様:抵抗感は非常に強いと感じます。ただ、当社のプロダクトへの抵抗感ではなく、クラウドの考え方が理解されていないという印象です。使いたい気持ちは強いが、どう使えば良いのかわからないというのが大半かもしれません。
Librus PR担当:製造業の中には世界シェアを持つ企業もあり、特殊な技術を有していることもあるかと思います。利便性と情報セキュリティを天秤にかけたときに、情報セキュリティを重視している企業が多そうですが、実際に御社のサービスを導入したクライアント企業は、この両立を実現されているのですか。
藤野潤也様:ようやく両立できるようになってきた、と感じています。先ほど申し上げたように、クラウドに対する抵抗感はありますが、セキュリティ上の問題がクリアされれば実現可能だと思います。実際、オンプレのシステムの方が攻撃されやすいという見方もありますので、セキュリティの観点ではクラウドサービスが有利だと思います。ただ、製造業ではそういった情報の更新がされていないのが現状です。
Librus PR担当:重要な機密情報を保有する製造業のお客様と取引をされている中で、情報セキュリティに対する取り組みや考え方について教えてください。
藤野潤也様:セキュリティは重要です。当社のプロダクトは外部機関を使ってセキュリティチェックを行っており、基本的にほぼ完璧にクリアしています。地方銀行とのプロジェクトにおいて、厳しいセキュリティチェックを一発でクリアできたことは大きかったと思います。
Librus PR担当:現在、製造業向けのサービスを提供されていますが、今後も製造業に特化して展開する方針でしょうか。特化する場合、具体的な事業展開について教えていただけますか。
藤野潤也様:お話しできる範囲になりますが、現在金属加工をメーンにしている部分を、樹脂や電子基板などにも展開していく予定です。また秋ころには生産管理業務を支援する「CHAIN(チェイン)」というシステムもローンチ予定です。近年、IoT関連の商品が出ていますが、現場では導入しても活用できていない現状があるようです。今後は機械の稼働管理などもデジタル化して全体最適を図れるようにしていきたいです。
Librus PR担当:製造業全体におけるDXに関わる課題や解決方法についての考えをお聞かせください。
藤野潤也様:非常に大きな枠組みで言うと、業務をデジタルで形成することだと思っています。デジタル化そのものが目的ではなく、業務をより効率的に行うための手段としてデジタル化を進めていくという考え方です。
人材不足や賃金引上げなどさまざまな経営課題がある中で、業務をデジタル前提で進めていくことが、製造業全体の課題解決に繋がると思います。
Librus PR担当:御社のサービスを導入することで利便性が向上し、さまざまなメリットが生まれていると思います。具体的にはどのような貢献ができるのでしょうか。
藤野潤也様:業界全体に共通する問題として多重下請け構造がありますが、「Mitsuri」はサプライヤーと直接取引します。それによって部品の調達価格を下げられることが1つの価値だと思います。製造業では部品の製作にあたり取引先とのすり合わせに多くの時間を要しますが、直接つなぐことでコミュニケーションのサイクルが早まり納期も短縮されます。すると設計者が次の製作に移りやすくなり、研究のスピードが上がることも評価されています。それがより良い技術の開発につながったり、マーケティングにおける顧客の声が早く反映されたりすることになります。当社では部品の調達をスマートにすることで全体最適に貢献できると考えています。未来の製造業を作りたい、サプライチェーンをスマートにしていきたいと強く思っています。
Librus PR担当:製造業は日本の産業として重要な位置を占めると思いますので、御社がスマートな製造業を実現して、日本の産業全体に貢献することが期待できますね。
藤野潤也様:人材不足の解消に寄与できますし、1人当たりの生産性向上も期待できます。効率が向上すれば残業が減り、基本賃金の上昇にも繋がります。業務の基盤をデジタルにしていくことによって、日本の産業全体自体にインパクトを与えられると考えています。製造業をデジタル化することで日本の産業を前進させることを真剣に目指しているところです。「Mitsuri」という製品は調達業務の最適化を達成するためのプロダクトで、コストダウンやコミュニケーションのサイクル改善などを実現し始めています。
Librus PR担当:今後の事業展開についてどうお考えになっていますか。
藤野潤也様:次に当社が取り組むのは、取引が始まった後のDX化です。受発注や製造管理などの事務的な部分のDX化がまだ進んでいません。そのためのDXコンサルティングやDXインテグレーターとしても取り組んでおり、全体最適を実現する1つのプラットフォームの提供を目指しています。もちろんこれは大きな挑戦であり、なかなか進まない部分もあります。当社がターゲットにしている大手商社や地銀、新興企業などからDX化することで、協力会社のサプライヤーもDXしやすくなると考えています。部分最適のプロダクトを提供するだけではなく、製造業全体のデジタル化に真摯に取り組んでいるということを伝えたいです。
Librus PR担当:本日は貴重なお話をありがとうございました。