ファクタリングは、未回収の売掛金を専門会社に売却して即座に資金化できる仕組みで、急な支払いにも対応できるスピード感が大きな特徴です。銀行融資と比べて返済義務がなく、担保や決算状況に左右されにくいため、創業間もない企業や中小企業でも利用しやすい方法として注目されています。
本記事では、ファクタリングの仕組み、2者間・3者間の違い、メリット・デメリット、銀行融資との比較を図解でわかりやすく解説。初心者でも理解できるよう丁寧にポイントを整理しています。資金調達の選択肢を比較・検討する際に役立ててくださいね。
ファクタリングとは何？初心者にもわかりやすく解説
ファクタリングとは、企業が持つ「売掛金（未回収の請求書）」を専門のファクタリング会社に買い取ってもらい、入金前に資金を受け取れる仕組みのことです。
本来、取引先からの支払いは30〜60日後になることが多く、資金繰りがタイトな時期には負担になりがちです。そこで、まだ入金されていない売掛金をファクタリング会社に譲渡し、即日〜数日で現金化できるのが大きな特徴です。借入ではないため、返済義務がなく、審査も比較的スピーディー。
創業したばかりの会社や、急な支払いに備えたい企業でも利用しやすい資金調達方法として注目されています。
2者間と3者間ファクタリングの違い
ファクタリングには「2者間」と「3者間」の2タイプがあります。大きな違いは、取引先（売掛先）に通知するかどうか。
2者間は自社とファクタリング会社だけで契約するため、取引先に知られずに資金化できますが、その分リスクを見込んだ手数料が高め（一般的には5〜20%）。
一方、3者間は取引先も契約に参加し、売掛金の支払いをファクタリング会社へ直接行う仕組みです。透明性が高いため手数料は低め（2〜10%）ですが、承諾取得により資金化まで1〜2週間ほどかかるのが一般的です。
取引先に知られず資金化できるのは2者間
2者間ファクタリングは、取引先へ通知せずに利用できるのが最大の特徴です。契約が自社とファクタリング会社の間で完結するため、スピードが速く、最短即日での資金化も可能。
ただし、売掛先の支払いリスクをファクタリング会社が大きく負うため、手数料は高めに設定される傾向があります。「急ぎ」「知られたくない」が優先なら向いている方式です。
手数料を抑えたいなら3者間
3者間ファクタリングは、売掛先が支払先をファクタリング会社へ変更することを承諾して成立する方式です。取引の透明性が高まるため、手数料は2〜10％程度と比較的低く抑えられます。
一方、売掛先からの承諾取得が必須となるため、資金化まで1〜2週間程度かかることが一般的です。コスト優先で、多少時間に余裕がある企業に適した方法です。
債権譲渡登記の要否で諸費用が変わる
ファクタリングでは、債権譲渡登記が必要かどうかで費用が変わります。特に2者間ファクタリングは、取引の安全性を担保するために登記を求められるケースが多く、その分の登録免許税や司法書士費用が追加で発生する場合があります。
3者間では売掛先も合意するため、登記不要となることが多く、トータルコストを抑えやすい点がメリットです。
ファクタリングの3つのメリット
ファクタリングには、資金を最短即日で確保できるスピード感、赤字決算や担保なしでも利用しやすい柔軟性、そして売掛金を売却することで負債を増やさずに資金化できる安心感などのメリットがあります。
これらの特徴を押さえることで、次に紹介する具体的な利点をより理解しやすくなります。
最短即日で資金を確保できる
銀行融資では数週間かかることもありますが、ファクタリングなら請求書を売却するだけで最短即日で資金化可能です。
急な支払いにも対応でき、キャッシュフローを安定させる強力な手段となります。短期間で現金を手にできるため、経営の柔軟性が大幅に向上します。
赤字決算・担保なしでも利用しやすい
融資のように自社の財務状況や担保に左右されず、与信の対象は売掛先企業の信用力が中心です。そのため、赤字決算や担保がない場合でも利用しやすく、中小企業やスタートアップに特に向いています。
信用力のある取引先を持つ企業であれば、利用のハードルが低い点も魅力です。
売掛金を売却するため負債が増えない
ファクタリングは売掛金を売却する取引なので、貸借対照表上の負債として計上されません。結果として自己資本比率を維持でき、財務状況を健全に保ちながら資金調達できる点も大きなメリットです。
資金繰りを改善しつつ、将来的な借入余地を残せる点も安心材料になります。
ファクタリングの3つのデメリット
ファクタリングは、スピーディに資金を確保できる便利な方法ですが、一方で注意しておきたいポイントもあります。
特に「手数料の高さ」「取引先に知られる可能性」「契約内容によっては返済義務が生じる」など、利用前に理解しておくべきリスクがあります。
ここでは、よくある3つのデメリットをわかりやすく整理し、どんな点に気をつけて選べば良いのかを詳しく解説していきます。
銀行金利より手数料が高い
ファクタリングの手数料は2〜20％が相場で、銀行融資の金利と比べると割高です。特に即日対応の2者間ファクタリングはリスクが大きく、手数料が高めに設定されがち。
利用回数が増えるほど資金繰りの負担になりやすいため、「本当に今、必要な資金なのか」を見極めることが重要です。
取引先に知られると信用不安につながる
3者間ファクタリングでは取引先への通知や承諾が必須のため、資金繰りが厳しい印象を与える可能性があります。また、2者間であっても、債権譲渡登記の情報を調べられるとファクタリングの利用がわかることも。
取引先との関係性や業界の慣習を踏まえ、どこまで開示しても問題ないかを検討しておく必要があります。
売掛先が倒産すると弁済義務が生じる場合もある
ファクタリングには「償還請求あり」と「償還請求なし」があり、前者の場合は売掛先が倒産した際に、受け取った資金を返済しなければならない可能性があります。
契約書の条件によってリスクの重さが大きく変わるため、利用前に必ずチェックすることが大切です。特に小規模事業者は、ここを見落とさないよう注意しましょう。
ファクタリングと銀行融資の違い
資金調達と聞くと銀行融資を思い浮かべる方が多いですが、ファクタリングとは仕組みもスピードも大きく異なります。最大の違いは「資金化までの早さ」と「返済義務の有無」。
ファクタリングは未回収の売掛金を売却して現金化するため、即日〜3日で資金を確保でき、返済も不要。
一方で銀行融資は、審査に決算書や税務書類が必要となり、資金が入るまで2週間〜1か月ほどかかります。
ここからは両者の違いを項目ごとに詳しく見ていきます。
スピード重視ならファクタリングが圧倒的に早い
ファクタリングは「請求書があればすぐ動ける」のが大きな強みで、最短即日〜3日で資金化できます。一方、銀行融資は審査に時間がかかり、入金されるまで通常2週間〜1か月ほど。
急な支払いが発生したときや、タイミングを逃したくない場面では、ファクタリングのスピード感が強みになります。
コスト重視なら銀行融資が低金利で有利
コスト面では銀行融資のほうが圧倒的に有利です。銀行の金利は一般的に年1〜5％程度と低く、長期的な資金調達には向いています。
一方、ファクタリングは手数料が2〜20％と高めで、短期利用に限定されやすいのが特徴。
できるだけコストを抑えたい企業は、融資の選択肢を検討する価値があります。
返済義務の有無が大きく異なる
ファクタリングは「売掛金の売却」という扱いのため、資金を受け取ったあとに返済する必要はありません。これが融資とは根本的に異なるポイントです。一方、銀行融資は元金と利息を返済していく必要があり、毎月の返済計画を立てることが前提になります。
資金繰りの安定性や返済負担をどう考えるかで、どちらが適しているかが変わります。
ファクタリングを把握して事業に役立てよう
ファクタリングはスピード重視の資金調達として有効ですが、手数料や取引先への通知リスクなど注意点もあります。
仕組みや種類をしっかり理解したうえで、自社の状況に合わせて活用すれば、キャッシュフローの改善や事業運営の安定につなげることができます。適切に選び、賢く取り入れることが成功のポイントです。
