事業運営では、設備投資や運転資金の確保など、安定した資金調達が欠かせません。2025年は中小企業支援の内容が見直され、コロナ禍中心の特例措置から、経営改善や成長支援を重視する制度へとシフトしました。
資金調達の選択肢が再編されつつある今、各融資制度の特徴を正しく理解することが重要になります。
本記事では、主要な融資制度の特徴から、目的別の選び方、代表的な金融機関の比較までを体系的に解説します。
自社に最適な調達手段を把握し、より有利な条件での借入を実現するための参考としてご活用ください。
法人融資とは?種類と仕組みを解説
法人融資とは、企業が事業運営や設備投資に必要な資金を外部から調達する仕組みです。2025年は、コロナ対応の特例措置が縮小し、中小企業の経営改善や成長支援を目的とした制度が拡充される流れが続いています。
融資形態には、金融機関が独自に審査を行う「銀行プロパー融資」、信用保証協会の保証を付けて利用する「保証協会付き融資」、低金利で長期借入が可能な「日本政策金融公庫」、比較的柔軟な審査を特徴とする「ノンバンク」、資金調達手段として広がりつつある「クラウドファンディング」などがあります。
資金使途は大きく運転資金と設備資金に分類され、一般に運転資金は短期〜中期、設備資金は中長期の返済期間が設定されるのが一般的です。企業の目的に応じて適切な制度を選ぶことが、資金調達の効率化に直結します。
法人融資の上手な選び方7選
多様な融資制度があるなかで、自社に最適な選択を行うには、金利や審査、返済条件などの比較が欠かせません。ここでは、法人融資を検討する際に押さえておきたい重要ポイントを整理します。
金利水準
法人融資を比較するうえで、金利水準は総返済額を左右する最重要項目です。適用金利は、金融機関の基準金利に加え、企業の財務状況や担保の有無、保証協会の利用などによって変動します。実質年率で比較することで、手数料を含めた正確な負担が把握できるでしょう。
また、自治体の制度融資や保証料補助を活用することで、金利が実質的に引き下げられる場合もあります。複数の選択肢を比較し、自社の信用力や資金使途に適した金利条件を見極めることが重要です。
融資スピード
資金繰りが逼迫している場面では、融資実行までのスピードが重要な判断基準となります。銀行融資は、申込から実行まで数週間〜1か月程度を要することが一般的です。
一方、ノンバンクやオンライン完結型のビジネスローンは、書類提出が簡素化されており、早ければ数日以内に入金されるケースもあります。
資金を確実に確保するためには、必要時期までの猶予を把握したうえで、スピードと条件のバランスを取ることが重要です。
上限額・返済期間
融資の上限額と返済期間は、資金使途や融資形態によって大きく異なります。運転資金の場合、数百万円〜数千万円規模での借入が多く、返済期間は1年〜5年程度が一般的です。
一方、設備資金は機械導入や店舗改装など多額の投資を伴うため、数千万円〜1億円超の枠が設定されることもあり、返済期間も5年〜10年以上と長期になる傾向があります。
必要な資金額と事業計画に合わせて、無理のない返済条件を選定することが重要です。
担保・保証人要件
融資における担保や保証人の要件は、企業が負うリスクと金融機関の審査方針を左右する重要な項目です。
一般的に、銀行融資では不動産や売掛金などを担保として求められる場合があり、代表者が個人保証を負うケースも少なくありません。
一方、保証協会付き融資では第三者保証を原則不要とし、担保なしで利用できる枠が用意されていることが特徴です。
また、オンライン型のビジネスローンや一部のノンバンクでは、無担保・保証人不要での借入が可能な商品が増えています。自社の状況に応じて、負担の少ない条件を選ぶことが重要です。
審査難易度(赤字・滞納時)
融資審査では、直近の業績や納税状況が重視されるため、赤字決算や税金の滞納がある場合は、借入が難しくなることがあります。
銀行プロパー融資では財務内容を厳格に評価する傾向が強く、継続的な赤字や資金繰り悪化が見られる企業は審査を通過しにくい傾向です。
一方で、ノンバンク系のビジネスローンでは、財務数値よりも事業の継続性や返済原資を中心に判断する商品もあり、緊急時の資金確保策として選ばれることがあります。
いずれの場合も、直近の経営状況を踏まえ、実現可能性の高い申込先を選定することが重要です。
オンライン完結性
融資手続きのオンライン対応は、申し込みから契約までの手間と時間を大きく左右します。銀行融資では来店や紙の書類提出が必要な場合もありますが、近年はWeb申込や電子契約に対応する金融機関が増えています。
特にオンライン特化型のビジネスローンは、必要書類のアップロードだけで審査が進むため、手続きが簡素で、結果通知までの時間も短縮されやすい点が特徴です。
移動や書類作成の負担を抑えたい場合や、迅速に手続きを進めたい場合には、オンライン完結の可否を比較の基準にするといいでしょう。
業種・目的特化枠
金融機関や自治体の融資制度には、特定の業種や目的に特化した枠が設けられている場合があります。
IT・医療・福祉など成長分野を対象とした優遇融資や、スタートアップ向けの低利制度などが代表例です。また、エネルギー効率化やDX推進など、政策的に重点が置かれるテーマに対しては、金利優遇や長期返済が認められるケースもあります。
自社の事業内容や取り組むプロジェクトが対象に該当するかを確認することで、より有利な条件で資金調達できる可能性が高まるでしょう。
法人融資におすすめの12社を徹底解説
法人向け融資は、金融機関ごとに金利や審査方針、得意分野に違いがあります。ここでは、主要な12社について、それぞれの特徴と提供する融資のポイントを紹介します。事業目的に合った資金調達方法を検討する際の参考としてご活用ください。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、政府系金融機関として中小企業や創業企業への資金供給を担っています。また、金利が比較的低く、返済期間も長めに設定できる点も特徴です。設備投資や創業資金など幅広い用途に対応しています。
担保や保証人に関する要件が柔軟に設定されている制度があり、初めて融資を利用する企業でも申し込みやすいでしょう。
事業計画の内容が重視されるため、資金使途や収支見通しを明確にしたうえでの準備が重要です。
信用保証協会付き融資
信用保証協会付き融資は、信用保証協会が債務を保証することで金融機関から資金を借りられる制度です。保証が付与されることで金融機関のリスクが下がり、比較的利用しやすい条件が提示されることが多いでしょう。
無担保枠の利用や自治体制度による金利優遇が受けられるケースもあります。審査では、事業内容や財務状況に加えて保証協会の基準による確認が行われるため、必要書類の整備と事業計画の明確化が重要です。
GMOあおぞらネット銀行
GMOあおぞらネット銀行のビジネスローン「あんしんワイド」は、金利0.9~14%と幅広い層が利用しやすい水準を採用しており、実際に借り入れた金額にのみ利息が発生する仕組みです。
未利用枠にコストがかからないため、資金の待機枠としても確保しやすいでしょう。
また、手数料が不要で、繰上返済にも追加費用が生じないため、返済計画を柔軟に組み立てられる点も特徴です。
口座の入出金データがあれば創業期から申し込みが可能で、最短2営業日での資金調達にも対応しています。
PayPay銀行ビジネスローン
PayPay銀行のビジネスローンは、金利1.8~13.8%(実質年率)の範囲で利用でき、10万円から1,000万円までの借入に対応した枠型の融資商品です。借入と返済を繰り返し行えるため、資金繰りの変動が大きい事業者でも柔軟に活用できます。
申し込みはオンラインで完結し、原則として決算書の提出を求められない点が特徴です。創業間もない企業や事業規模の小さい個人事業主でも利用の可能性があります。
来店不要で、審査結果は電話またはメールで通知されるため、スムーズに利用を開始できます。
横浜銀行ビジネスフリーローン
横浜銀行のビジネスフリーローンは、神奈川県内、東京都町田市で事業を営む個人事業主を対象とした商品で、最大500万円・固定金利4.8%、9.8%、14.5%の3区分が設定されています。
申し込みから契約までWebで手続きでき、原則として所得確認資料の提出が不要なため、準備の負担が小さい点が特徴です。
審査はスピード重視で、申込から融資実行までおおむね1〜2週間が目安とされています。事業資金として用途の幅が広く、担保や保証人も必要としないため、急な資金需要にも対応しやすいローンです。
AGビジネスサポート
AGビジネスサポートのビジネスローンは、原則として担保や第三者保証を求めない設計で、法人・個人事業主が利用できる商品です。融資額は50万〜1,000万円に対応し、契約利率は実質年率3.1〜18.0%が設定されています。
申し込みから融資までの手続きは来店不要で進められ、状況によっては即日の資金調達が可能です。
事業資金の範囲で使途は自由に設定でき、年会費・保証料も不要なため、必要な時期に柔軟に活用しやすい点が特徴といえます。
ドコモ・ファイナンス BUSINESS LOAN
ドコモ・ファイナンスの BUSINESS LOANは、申し込みから契約までをオンラインで完結でき、状況によっては最短即日の資金調達が可能な事業者向けローンです。
限度額は50万〜500万円、金利は実質年率6.0〜14.9%(50万円コースは8.0〜17.8%)が設定されており、法人・個人事業主のどちらも利用できます。
借入は全国のATMに加えオンラインでも行え、ネット経由の場合は手数料がかからない点も特徴です。急な資金需要に対応しやすく、日常的な資金繰りにも活用できます。
PMG(売掛連動型)
PMGの売掛連動型サービスは、企業が保有する売掛金を基に資金を確保するファクタリングの仕組みを採用しており、入金前の債権を早期に現金化できます。
資金化までの期間が短く、入金サイトが長い取引を抱える企業でも資金繰りを安定させやすい点も特徴です。審査は売掛金の内容や回収見込みを基準として進められるため、比較的多くの事業者が利用しやすい制度と言えるでしょう。
さらに、資金提供だけでなく、経営改善や補助金の活用支援など、周辺領域も含めたサポートを提供している点も特徴的です。
OLTA Lending
OLTAのクラウドファクタリングは、売掛金の入金前に請求書を買い取ることで資金を確保する、借入に依存しない資金調達サービスです。信用情報を利用しない審査方式で、担保や保証人も不要のため、法人・個人事業主いずれも利用しやすい仕組みとなっています。
手続きはすべてオンラインで完結し、書類提出もアップロードのみで済むため、全国から申し込みが可能です。審査はAIを活用して迅速に行われ、手数料は2〜9%の範囲に設定されています。最短即日で資金化できる点も大きな特徴です。
CAMPFIRE(クラファン)
CAMPFIREは、個人から企業・団体まで幅広い主体がプロジェクトを公開し、支援という形で資金を募るクラウドファンディングサービスです。手続きはオンラインで完結し、プロジェクト内容によっては短期間でまとまった資金を得られる可能性があります。
借入ではなく、共感を基に資金を集める仕組みのため、信用情報や担保に左右されにくい点も特徴です。目標金額に上限がないため、事業規模に応じた柔軟な設定が可能で、認知度向上や市場の反応を把握する手段としても活用されています。
SBIベンチャーデット
SBIが提供するベンチャーデットは、成長段階にある企業を対象としたハイブリッド型の資金調達手法です。新株予約権付融資や転換可能な債券などを組み合わせることで、出資に伴う株式の希薄化を抑えつつ、成長資金を確保できます。
一定の事業実績や収益モデルを持つ企業に適しており、調達した資金を事業拡大や新規投資に充てることで成長速度を高めることが可能です。また、SBI新生銀行は企業ごとの状況に合わせた個別設計のファイナンスを行い、経営課題の解決や次の成長ステージへの移行を後押ししています。
補助金+銀行協調融資モデル
補助金と銀行融資を併用する協調モデルは、事業の実行力を高めつつ資金負担を抑えられる点で有効な調達方法です。
補助金は返済不要であり、設備投資や新規事業に必要な初期費用の一部を公的資金で賄えるため、企業の自己負担を大きく削減できます。さらに、採択実績は計画内容が公的機関から評価された証拠となり、金融機関の与信判断にプラスに働く場合があります。
一方、補助金は後払いで支給されるため、事業開始時の資金確保には銀行融資が不可欠です。申請から採択まで時間を要することが多いため、資金繰りを見据えた準備と金融機関との早期相談が重要になります。
低金利で借りるための5つのポイント
法人融資の金利は、企業の財務状況や取引実績、担保の有無などによって大きく変動します。適切な準備と金融機関との向き合い方を押さえることで、より有利な条件で借入を実現できる可能性が高まるでしょう。ここでは、そのための重要なポイントを解説します。
決算黒字化・納税完了で金利引下げ
金融機関が金利を判断する際、最も重視する項目の一つが決算状況と納税状況です。安定的に黒字を確保している企業は、返済原資が確保されていると評価され、金利優遇の対象となる可能性が高まります。
また、法人税や消費税などの納税が滞りなく行われていることも信用力の判断材料となり、取引姿勢が良好である企業ほど条件改善を期待しやすくなるでしょう。
短期的な資金繰りに依存しない経営体制や、計画的な納税管理を示すことで、金融機関からの信頼度を高めることができ、結果として金利負担の軽減につながります。
担保・保証協会の活用
低金利で融資を受けるためには、金融機関のリスクを軽減する仕組みを活用することが効果的です。信用保証協会の保証を付ける制度融資を利用すれば、無担保でも比較的低い金利が適用されるケースがあります。また、担保を提供できる場合、金融機関は回収可能性を確保できるため、金利が抑えられる傾向です。
保証料の負担は生じるものの、総返済額を抑えられる可能性があり、資金調達の選択肢になります。事業計画や資金使途と合わせて、担保力や保証制度の適用可否を検討することが重要です。
資金使途の数値化と返済計画提示
低金利を引き出すためには、資金投入によってどの程度の回収効果が見込めるかを客観的な数値で示すことが重要です。設備投資であれば生産性向上による売上増、業務改善であればコスト削減額など、ROI(投資対効果)を具体的に試算することで、返済原資の裏付けが強まり、金融機関の安心感が高まります。
また、キャッシュフローに基づいた現実的な返済計画を提示することで、返済能力の信頼性が高まり、金利条件の改善が期待できるでしょう。数字に基づく説明は、審査全体の説得力を大きく高める要素です。
補助金併用で実質コスト削減
補助金を活用しながら融資を組み合わせることで、実質的な返済負担を抑えられる点が大きなメリットです。補助金は返済不要の公的支援であり、採択されれば設備導入や新規事業に必要な初期費用の一部を外部資金で賄うことができます。
結果、銀行融資で調達すべき金額が減り、元金・利息の負担を軽減できるでしょう。計画的に組み合わせることで、資金調達の効率は大きく向上します。
取引実績の一元化
金融機関との取引を特定の銀行に集約することは、金利交渉を有利に進めるうえで効果的です。
入出金や振込、給与支払いなどの取引履歴が一つの金融機関に蓄積されることで、事業の安定性や資金管理の実態が把握しやすくなり、信用評価の向上につながるでしょう。
また、メインバンクとしての関係性が深まるほど、追加融資や条件変更への対応が柔軟になる場合もあります。複数行と取引する場合でも、主要な資金の流れをどこに置くかを明確にし、一貫した取引姿勢を示すことが大切です。
法人融資のおすすめ会社を知って上手に選ぼう
ここまで、法人融資の仕組みや選び方、主要金融機関の特徴、そして低金利で借りるためのポイントを解説しました。
融資制度は同じように見えても、金利、審査基準、スピード、対象業種などは各社で大きく異なります。自社の資金使途や成長段階に合った選択肢を把握することで、より適切な条件で資金を確保できる可能性が高まるでしょう。
複数の手段を比較しながら、必要なタイミングで無理のない資金調達を行い、安定した事業運営につなげてください。
ディスクリプション
2025年の法人融資の種類や選び方、主要金融機関の特徴、低金利で借りるためのポイントを分かりやすく解説。自社に合う資金調達方法を検討する際の参考にしてください。
