資金繰りに悩む中小企業にとって、ファクタリングは迅速な資金調達手段として注目されています。
しかし、手数料の高さがネックとなり、利用をためらう声も少なくありません。本記事では、ファクタリングの基本から手数料の相場、さらに費用を抑える7つの具体策まで詳しく解説します。
費用負担を抑えつつ、安全に資金調達を行いたい方はぜひご覧ください。
ファクタリングとは
ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、早期に現金化する資金調達の方法です。
入金待ちの期間を短縮できるため、資金繰りの改善や急な資金需要に柔軟に対応できます。主に中小企業を中心に利用が広がっており、金融機関の融資に頼らずに資金を確保できるのが特徴です。
利用形態にはいくつかの種類があり、取引の内容によって手数料にも違いが出てきます。
ファクタリングにおける手数料の相場とは
ファクタリングを利用する際、多くの事業者が最も気にするのが手数料の水準です。手数料はサービスの種類や契約条件によって大きく異なり、資金調達コストに直結します。
ここでは、一般的な相場感を把握し、適正なコストでファクタリングを活用するための基礎知識をご紹介します。
2者間ファクタリングの手数料相場
2者間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の間だけで契約する形式です。売掛先に通知せずに資金化できる反面、回収リスクがファクタリング会社に集中するため、手数料は高めです。
一般的な相場は8〜18%程度で、取引条件や売掛先の信用状況によって変動します。取引金額が少額であったり信用力が低い売掛先の場合、手数料が上がる傾向があるため、利便性とコストのバランスを考慮して利用することが大切です。
3者間ファクタリングの手数料相場
3者間ファクタリングは、利用者・ファクタリング会社・売掛先の3者間で契約を行う形式です。売掛先に債権譲渡の通知を行うため、取引の透明性が高く、回収リスクも抑えられるのが特徴です。このため、ファクタリング会社のリスクが少なく、手数料は2〜9%程度と低水準に設定されることが一般的です。売掛先の信用力が高いほど、さらに有利な条件で契約できる可能性もあります。通知が必要という条件はあるものの、手数料を抑えたい場合には有力な選択肢となるでしょう。
ファクタリング利用時の手数料以外の費用
ファクタリングを利用する際、注目されがちなのは手数料ですが、実際にはその他の費用も発生することがあります。
契約手続きや法的処理にかかる費用、さらには事務対応などに伴う諸経費も見落とせません。ここでは、手数料以外に必要となる代表的な費用について具体的に解説します。
法的手続きや契約にかかる費用
2者間ファクタリングでは、一般的に債権譲渡登記を行います。この登記にかかる費用は数万円〜10万円程度で、法的効力を持たせるための重要な手続きです。
また、契約書に貼付する印紙代も必要で、取引金額に応じて数百円から数千円が発生します。これらの費用は、契約ごとに異なるため、事前に見積もりを確認しておくことが重要です。
ファクタリング会社に支払う諸費用
ファクタリング会社を利用する際は、手数料のほかに審査手数料や事務手数料が発生することがあります。これらは数千円〜数万円程度が相場で、契約内容や対応範囲によって異なるので注意しましょう。
また、訪問手続きが必要な場合には、出張費や交通費といった実費が請求されることもあります。こうした諸費用もトータルコストに含まれるため、契約前に詳細な内訳を確認しておくことが大切です。
ファクタリング手数料が上下する理由
ファクタリングの手数料は一律ではなく、取引内容によって大きく異なります。売掛債権の金額や支払条件、売掛先の信用力によって費用が変動するため、単純に比較はできません。
リスク要因を見落としてしまうと、想定以上のコストが発生することもあります。手数料に影響する主な要因について、あらかじめ把握しておきましょう。
売掛債権の金額と支払条件
売掛債権の金額や支払条件は、ファクタリング手数料に大きく影響します。取引額が大きければ、ファクタリング会社としても十分な利益を見込めるため、手数料は比較的低く設定されるでしょう。
一方、支払期日が長いと回収リスクが高まり、手数料が上がることもあります。手数料を抑えるには、支払期日はできるだけ早めに設定し、債権額もある程度まとまった金額で提示するのが効果的です。
売掛先の信用力と支払い実績
ファクタリングの手数料は、売掛先の信用力やこれまでの支払い実績にも大きく左右されます。信用力の高い売掛先であれば、回収リスクが小さくなるため、手数料は低くなる傾向です。
一方、設立間もない企業や支払い遅延の履歴がある場合、リスクが高いと判断され、手数料が高くなることがあります。また、信用調査の結果によっては、契約を断られるケースもあるため注意が必要です。事前に売掛先の信用状況を把握し、必要に応じて資料を準備しておきましょう。
ファクタリング利用者の取引履歴
ファクタリングの手数料は、売掛先だけでなく、利用者自身の取引履歴にも左右されます。過去に継続的な利用があり、トラブルや遅延がなかった場合は信頼性が高いと判断され、手数料が優遇される傾向です。
反対に、契約違反や支払い遅延の履歴があると、リスクがあると見なされ手数料が上がることもあります。また、初回利用の場合も実績が乏しいと判断されやすいため、事前に財務資料や取引履歴を整理し、信頼性を示せるようにしておきましょう。
ファクタリング手数料を抑えるための7つの実践方法
ファクタリングは便利な資金調達手段ですが、手数料が高くつくと資金繰りに負担を与えることもあります。少しの工夫や事前準備によって、手数料を抑えることは十分可能です。
ここでは、実践的かつ効果的な7つの方法を紹介します。無駄なコストを減らし、賢くファクタリングを活用しましょう。
複数のファクタリング業者から見積もりを取得
ファクタリング手数料を抑えるには、複数の業者に相見積もりを依頼することが効果的です。1社だけに依頼した場合、適正価格かどうかの判断が難しく、結果として高い手数料を支払うことになりかねません。
一方、複数の見積もりを比較することで相場感を把握でき、より有利な条件で契約できる可能性が高まります。他社の見積もりを交渉材料に使えば、さらに料金が下がるケースも少なくありません。手間はかかりますが、コスト削減のためには避けて通れない大切なステップです。
売掛先の信用資料を積極的に提示
売掛先の信用力はファクタリング手数料に大きく影響するため、その情報を積極的に提示することが有効です。決算書や支払い実績、企業概要などの資料をあらかじめ用意しておくことで、与信審査の精度が上がり、リスクが低いと判断される可能性が高まります。
信用情報が不明な状態では、リスクがあると判断され、高めの手数料を設定されてしまう恐れもあるでしょう。余計なコストを避けるためにも、情報開示は積極的に行うのがおすすめです。
3社間ファクタリングの選択肢を検討
ファクタリング手数料を抑えたい場合、3社間ファクタリングの利用を検討することも有効です。売掛先への通知と同意が必要となるものの、ファクタリング会社のリスクが低いため、手数料は2社間よりも低くなる傾向があります。
売掛先との関係性に問題がなければ、通知に応じてもらえる可能性は十分にあるでしょう。取引の透明性も高まるため、信用面での評価も得やすくなります。
事前に手数料シミュレーターで費用を試算
ファクタリングを検討する際は、事前に手数料シミュレーターを活用して、概算の費用を把握しておくと安心です。シミュレーターでは、売掛金額や入金予定日などを入力すれば、想定される手数料の範囲を把握できます。
あらかじめ相場感を持っておくことで、見積もりを受け取った際に条件の妥当性を判断しやすくなるでしょう。予算管理や業者選びに直結するため、シミュレーターの活用は欠かせません。
継続利用による条件改善を目指す
ファクタリングは、継続して利用することで条件が改善される場合があります。定期的な取引を行い、丁寧な対応を続けることで、ファクタリング会社との信頼関係が強まっていくでしょう。
信頼が深まると、手数料の引き下げや入金スピードの短縮など、優遇された条件を提示される可能性が出てきます。過去の実績は評価対象となるため、単発ではなく継続的な関係構築を意識することが、コストを抑えるうえでも有効です。
資金調達の緊急度を見直す
ファクタリングの手数料は、資金調達のスピードに比例して高くなる傾向があります。迅速な対応を求めるケースでは、手数料が高く設定されるのが一般的です。一方、ある程度の時間的余裕をもって申請すれば、コストを抑えられる可能性があります。
すべての資金ニーズが即時対応を必要とするとは限らないため、まずは緊急度を見直すことが重要です。急ぎでない案件については、余裕をもった申請によって手数料を抑えましょう。
交渉テンプレートを活用して依頼文を作成
手数料を抑えるには、ファクタリング会社との交渉が重要です。しかし、依頼文の書き方や伝え方に悩むケースも少なくありません。
そのような場合は、交渉テンプレートを活用することで、伝えるべき内容を整理しやすくなります。必要な情報が網羅されていれば、ファクタリング会社に誠実な印象を与える効果も期待できるでしょう。要点を的確に伝えることで、手数料の見直しにつながる可能性があるため、事前に依頼文を整えておくことが大切です。
まとめ
ここまで、ファクタリングにおける手数料の相場や、コストを抑えるための具体的な方法を解説しました。
ファクタリングは便利な資金調達手段ですが、手数料には十分注意が必要です。2者間・3者間の違いや、費用が変動する要因を把握したうえで、適切な対応をとることが求められます。
本記事で紹介した7つの対策を活用し、自社に合った方法から取り入れてみてください。